心筋梗塞
心臓は、休むことなく収縮と弛緩を繰り返します。
弛緩することにより血液を心臓に溜め込み、収縮して溜め込んだ血液を全身へ送りだします。
この非常にタフな臓器を維持するためには、常に豊富な血液が送り込まれ、酸素と栄養分が与えられます。
その血液のパイプ役をしているのが、冠動脈と呼ばれる心臓の動脈です。
運動時など心臓でたくさん血液が必要とされる状況では、供給される血液が足りなくなり、胸痛などの症状がその警笛として発せられます。
心筋梗塞では、冠動脈が完全に閉塞してしまい、閉塞した先の心臓の筋肉に血液がながれなくなります。心筋は死んでしまい、その後に大きな心臓の機能障害をもたらします。
急性心筋梗塞とは、多くは動脈硬化により狭くなった血管に急速に血栓が形成され冠動脈が完全に閉塞することに起因します(急性冠症候群)。
心臓の筋肉への血流が突然ストップしてしまうため、心筋が死んでしまいます。早期に血流を再開できないと、大きな範囲で心筋に障害が起き、心臓のポンプ機能が低下し、心不全になってしまいます。心臓の筋肉は再生されないため、一度心筋梗塞になると、その後ずっと障害が残ったまま生きていかなくてはなりません。
心筋梗塞後の慢性期になると、障害を受けた大きさに合わせて心臓のポンプ機能が低下し、日常生活の活動性、余力を低下させます。
つまり、運動などで心臓に負担がかかるとすぐに疲れてしまう、息切れがしてしまうなど、心不全の症状があらわれるようになります。
また、心筋梗塞が起こった場所では、まれに心臓の壁が瘤のように膨らんでしまうことがあります(心室瘤)。
これにより、心不全傾向に陥ることがあります。
また、心室瘤にならなくても、心臓が拡張して(心拡大)、僧帽弁の機能不全(閉鎖不全症)に陥り、心不全に拍車をかけ重症心不全になることもあります。
このような病態は虚血性心筋症と最近は呼ばれており、難治性の病態として治療方法が盛んに検討されております。
治療としては
①内服治療
②血管内治療
③外科治療
などがあります。