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認知症(アルツハイマー病)

●認知症とは

認知症とは認知機能(思考力、記憶力、論理的推理力)や行動能力が、日常の生活や活動を妨げる程度にまで失われる状態を指します。
認知症の重症度は、その人の機能に影響が及びはじめる最も軽度の段階から、日常生活の基本的な活動について完全に他人に依存しなければならない最も重度の段階まで様々です。

認知症は、様々な病態や疾患が原因で生じます。
高齢者における認知症を引き起こす疾患の上位3つは、アルツハイマー病と、血管性認知症、レビー小体認知症です。
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●アルツハイマー病

欧米と同様に、我が国でもアルツハイマー型認知症が最も多く、年々増加する傾向にあります。アルツハイマー型認知症は、記憶力の低下で始まり、日付・曜日や居場所がわからなくなる見当識障害、料理などの作業の要領が悪くなる実行機能障害、判断力の低下、言葉が円滑に出ないなどの「中核症状」がみられます。
さらに、イライラして怒りやすくなることやものを盗まれたと主張する被害妄想などの「行動・心理症状」が現れることがあります。「行動・心理症状」は「周辺症状」、あるいは「BPSD」とも呼ばれます。

「中核症状」はほとんどの方にみられますが、病気の進行とともに、徐々に強くなります。

一方、「行動・心理症状(BPSD)」は、すべての方にみられるわけではなく、環境や家族の接し方によって、軽くなったり、強く現れることもあります。

中核症状

○数分前、数時間前の出来事をすぐに忘れる
○同じ内容の話や質問を繰返す
○財布や鍵を置いた場所を思い出すことができない
○日付や曜日がわからなくなる(見当識障害)
○スイッチの消し忘れが増える
○きちんと薬をのむことができなくなる
○季節に合った服装を選ぶことができなくなる
○仕事や家事の要領が悪くなる(実行機能障害)
○通い慣れた場所で道に迷う

行動・心理症状(BPSD)

○イライラする場面が多くなる
○些細なことで腹を立てることが多くなる
○今までの日課をしなくなる
○誰もいないのに、誰かいると主張する(幻覚)
○自分のものを誰かに盗まれたと主張する(もの盗られ妄想)
○無目的に屋外に出て歩き回る(徘徊)

アルツハイマー型認知症は、いつのまにか始まり、緩やかに進行していくのが特徴です。人によって進み方や症状の現れ方はさまざまです。

アルツハイマー型認知症の治療

アルツハイマー型認知症は、緩やかに進行する病気です。現時点では根本的に治療して元の状態に戻すことは困難ですが、病気の進行をできるだけ遅らせて、本人が少しでも長くその人らしく暮らせるように支えること、そして家族の介護の負担を軽減することが治療の中心になります。アルツハイマー型認知症の治療には、薬による治療(薬物治療)と薬を使わない治療(非薬物療法)があります。

薬物療法
アルツハイマー型認知症の薬物治療には、認知機能を増強して、中核症状を少しでも改善し病気の進行を遅らせる治療と、行動・心理症状(BPSD)を抑える治療があります。薬の効果と副作用を定期的にチェックしながら、症状に合わせて使っていくので、治療中に気になる変化があれば医師に相談することで、より良い治療につながります。

薬以外の治療
認知症と診断されても、本人にできることはたくさん残っているので、家庭内で本人の役割や出番を作って、前向きに日常生活を送ることが大切です。
アルツハイマー型認知症の治療には、書き取りやドリルなどの認知リハビリテーションのみならず、昔の出来事を思い出すこと、家族以外の人たちと交流すること、音楽、絵画、陶芸などを楽しむこと、囲碁、将棋、麻雀などを楽しむこと、ウオーキングなど軽い運動を続けること、ペットを飼うことなども脳の活性化につながります。
また、家族や周囲の人の対応の仕方によって、行動・心理症状(BPSD)が改善することも多くみられます。

●脳血管認知症

脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで、患者が多いとされている認知症です。脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの、脳の血管の病気によって、脳の血管が詰まったり出血したりし、脳の細胞に酸素が送られなくなるため、神経細胞が死んでしまい認知症が起こります。男性の方が女性よりも多く発症している認知症です。アルツハイマー型が徐々に進行するのに対して、よくなったり悪くなったりを繰り返し進行します。多発性脳梗塞などで、小さな脳梗塞が何度も起きている場合、脳梗塞が起きる度に症状が悪化していきます。また障害を起こした脳の場所によって、起きる症状が変わってきます。

症状
脳血管性認知症は、脳血管障害の発作によって突然症状が現れたり、徐々に悪化したりします。障害の部位でも症状が異なるので、理解力や判断力は保たれて人格はしっかりしているように見えても、記憶力が低下してるといったような「まだら認知症」もみられます。また、発症の原因である脳血管障害を引き起こす、高血圧・高脂血症、糖尿病や心臓病などの生活習慣病を患っていることも大きな特徴です。ですから、これらの生活習慣病を予防・治療するこが、認知症の予防にもつながります。

治療
脳血管性認知症そのものに対する確実な治療法はまだないため、それを引き起こす脳血管障害の治療・再発予防が認知症の治療に結びつきます。現在は、脳血流改善薬や脳血管拡張薬、脳代謝賦活薬などが有用とされています。また、脳血管障害の原因である高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を予防するとともに、バランスの取れた食生活や適度な運動、肥満予防、喫煙や飲酒の抑制、精神的ストレスの緩和などが大切です。

●レビー小体認知症

原因は不明ですが、脳の広い範囲にレビー小体という異常な蛋白がたまり、脳の神経細胞が徐々に減っていく進行性の病気です。1990年代の後半になって広く知られるようになった比較的新しい病気です。

症状
レビ一小体病には3徴と呼ばれる特徴的な症状があります。

1.認知機能の変動
認知機能の変動とは、時間や場所、周囲の状況に対する認識や会話をした際の理解力など、悪い時と良い時の差が目立つという症状です。

2.繰り返し出現する幻視
幻視は、実際には存在しないものが見えるという症状ですが、人や子供が見えると言われることが多いです。また幻視は夜間に多くなります。

3.パーキンソン症状
パーキンソン症状とは、体や表情が硬くなる、体の動きが減る、運動がぎこちなくなる、手が震える、姿勢が前傾になる、バランスを崩しやすくなる、小股で歩く、突進して止まれなくなるなど、いくつかの運動症状が出現する状態のことです。立ちくらみや失神、便秘などの自律神経症状が起こることもあります。
そのほか、誰かがいる気配がすると感じたり、家族が偽物だと思ったり、自分の家ではないと思ったりする妄想が出ることもあります。

治療
レビー小体病を完全に治したり、進行を止めたりする薬はありません。ただ、認知機能の低下や変動、幻視に対して、アルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬が有効な場合があります。また抑肝散という漢方薬も幻視、気分の不安定さなどに対して効果があるという報告があります。パーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療薬を用います。   
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