花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。現在、日本人の約38.8%*がスギ花粉症だといわれています。花粉症の時、私たちの体の中でなにが起こっているのでしょうか。私たちの体は、“花粉”という異物(アレルゲン)が侵入するとまず、それを受け入れるかどうかを考えます。排除すると判断した場合、体はこれと反応する物質をつくる仕組みをもっています。この物質を「IgE抗体」と呼びます。抗体ができた後、再び花粉が体内に入ると、鼻や目の粘膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合します。その結果、肥満細胞から化学物質(ヒスタミンなど)が分泌され、花粉をできる限り体外に放り出そうとします。・・・そのため、くしゃみで吹き飛ばす、鼻水・涙で洗い流す、鼻づまりで中に入れないよう防御するなどの症状が出てくるのです。・症状鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合が多く、その他にのどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがあります。(さらに、シラカンバ、ハンノキ、イネ科花粉症などの人が、ある果物や野菜を食べると、口の中がかゆくなり、腫れたりする「口腔アレルギー症候群」という症状もあります。)鼻の三大症状[1] くしゃみ くしゃみは花粉症のほとんどの人が悩まされている症状で、鼻の粘膜についた花粉を除こうとするために生じます。花粉症のくしゃみは連続して起こり、回数も多いのが特徴です。 [2] 鼻水 くしゃみと同じように鼻水も鼻の粘膜についた花粉を除こうとするために生じます。花粉症の鼻水は、風邪の鼻水のようにねっとりしたものではなく、涙と成分がほとんど同じで、無色で粘り気がなくサラサラしているのが特徴です。[3] 鼻づまり鼻の穴から入った空気は下鼻甲介、中鼻甲介の間を通ってのどへと流れていくのですが、花粉症などでこの鼻甲介(特に下鼻甲介)の表面粘膜が腫れると空気が通れなくなり鼻づまりとなります。目の三大症状 [1] 目のかゆみ[2] 充血[3] 涙が出る・治療花粉症などのアレルギーは、症状が悪化すると薬が効きづらくなります。しかし、軽いうちに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、そのシーズンの症状を軽くすることができます。 そこで、花粉の飛びはじめる前あるいは症状が軽いときから薬の使用をはじめる『初期療法』という治療方法があります。特に、毎年の症状が中等症以上になる方で、楽にシーズンを乗りきりたいと考えている方におすすめです。 初期療法の開始時期は、使用する薬の効果が現れるまでの時間と、患者さんの例年の飛散花粉に対する過敏性を考慮して判断します。抗アレルギー点眼薬は花粉飛散予測日の2週間前または症状が少しでも現れた時点で治療を開始します。第2世代抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬は花粉飛散予測日または症状が少しでも現れた時点で治療を開始します。症状が重い場合には鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)やロイコトリエン拮抗薬などが併用されます。アレルゲン免疫療法アレルゲン免疫療法は、花粉症の原因となっている抗原(スギ)を少しずつ量を増やしながら体内に吸収させることで、抗原に対する反応を弱めていく方法です。抗原を注射する皮下免疫療法や舌の下の粘膜から抗原を吸収させる舌下免疫療法などがあります。3年という長い期間の治療が必要となりますが、唯一、アレルギーを治す可能性のある治療法です。注射内服薬・点眼薬・アレルゲン免疫療法で、効果がない場合、皮下注射による方法があります。この治療法は条件が厳しいため、医師にご相談されてください。
・・・そのため、くしゃみで吹き飛ばす、鼻水・涙で洗い流す、鼻づまりで中に入れないよう防御するなどの症状が出てくるのです。
(さらに、シラカンバ、ハンノキ、イネ科花粉症などの人が、ある果物や野菜を食べると、口の中がかゆくなり、腫れたりする「口腔アレルギー症候群」という症状もあります。)
鼻の穴から入った空気は下鼻甲介、中鼻甲介の間を通ってのどへと流れていくのですが、花粉症などでこの鼻甲介(特に下鼻甲介)の表面粘膜が腫れると空気が通れなくなり鼻づまりとなります。
そこで、花粉の飛びはじめる前あるいは症状が軽いときから薬の使用をはじめる『初期療法』という治療方法があります。