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糖尿病について

糖尿病について
1 . 糖尿病とは?

糖尿病とは血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がる病気です。 血糖値が高くても、すぐには症状がなく、問題となることはあまりありません。しかし、数年間続くと全身の血管に障害をおこして合併症をひきおこす可能性が高くなります。
糖尿病の治療の目的は合併症を防ぐために血糖値を下げることです。
*インスリンとは膵臓から血糖を下げるホルモンで、インスリンが糖尿病に大きな影響を与えています。 

2 . 糖尿病の種類

・1型糖尿病:インスリンを合成・分泌する膵島のβ細胞の破壊により、 インスリンがほとんど分泌されない。
・2型糖尿病:インスリンの分泌量が不足していたり、インスリンが効きにくい(インスリン抵抗性)ためインスリン作用が低下する糖尿病。
・その他の特定の機序、疾患によるもの:遺伝子として遺伝子異常が確認されたもの、膵臓病(膵炎、膵臓 がんなど)、内分泌疾患(ホルモンの病気)、肝臓病(肝炎など)、 薬剤や化学物質によるもの、感染症などが原因で起こる糖尿病。
・妊娠糖尿病 :妊娠中に初めて発見または発症した糖代謝異常。

3 . 糖尿病の検査

① 75gブドウ糖負荷試験(OGTT)

ブドウ糖が溶けたサイダー水を飲んで、その後の血糖値や血中インスリンなどの変化をみる検査です。主に糖尿病の診断のために行います。
食事の前は正常な血糖値なのに、食後に血糖値が急激に上がるいわゆる血糖値スパイクが起きているかどうかを調べることができます。
健康診断で空腹時血糖100mg/dl以上またはHbA1c5.6%以上の場合、家族に糖尿病の人がいる場合では、ブドウ糖負荷試験を行うことが望ましいとされています。
すで糖尿病になっているのかまだ境界型なのか、食事と運動療法だけで大丈夫な状態なのか、 お薬が必要だとしたらどんな種類のものが体に合うのかがわかります。
前日は夜9時までに夕食をすませ、当日は空腹の状態で来院してください。 ブドウ糖を飲む前、30分後、60分後、120分後と合計4回採血します。 待ち時間の間は動くと血糖値が変わってしまうため、院内でゆっくりしてお持ちいただきます。

② HbA1c値と血糖値

糖尿病の検査や治療でよく使われる検査にHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)があります。
HbA1cとは、赤血球中のヘモグロビンという色素のうち、どれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値です。
普段から血糖値が高い人はHbA1c値が高くなり 血糖値が低い人はHbA1c値が低くなります。 HbA1cは過去1-2ヶ月の血糖値の平均を反映しているため、血糖コントロール状態の目安となります。
検査の日に食事を控えても、血糖値を下げることはできますが、HbA1c値は下がりません。反対に、最近2ヶ月程度、食事や運動をがんばった人は、検査の日だけたくさん食べても、HbA1c値は上がりません。 そのため、糖尿病の治療には一般的にHbA1cが用いられています。
治療によりHbA1c値 7%(NGSP値)未満で維持できれば合併症(神経障害、網膜症、腎症)を防ぐ目安といわれています。

4 . 糖尿病の診断 
糖尿病について
5 . 糖尿病の治療は早ければ、早いほどよい

HbA1c値が8.0%以上は合併症が進みやすい状態です。とくにHbA1c値が8.4%(NGSP値)以上の状態を放っておくと、5年程度で両足のしびれがはじまり、足の感覚が麻痺し、ひどい痛みにかわります。7-10年程度で、視力が低下し、最悪の場合は失明します。国内で毎年3500名以上が糖尿病で失明しています。10-13年程度で、腎不全となり人工透析が必要となります。糖尿病が原因での透析患者は国内で年間1万4000名以上です。糖尿病で透析が開始となると、その後の50%生存率は約4年です。

他にも急に心筋梗塞や脳梗塞になったり、足が腐って切断が必要になったりします。また、血糖値が高いと癌の発症率は1.3倍に上昇します。

糖尿病にかかり糖値が高いと、現在、何も症状がなくても合併症はどんどん進んでいると考えられます。治療により血糖値やHbA1c値が下がれば、上記の経過は遅らせることができますが、治療開始が遅いとその後HbA1c値が下がっても合併症の進行を止められなくなることがあります。

膵臓のβ細胞がインスリンを出す力は年齢とともに落ちていきます。境界型糖尿病の時点ですでに膵臓のβ細胞がインスリンを出す力は弱り始めている場合が多く、早めの治療は必要といわれるのはそのような理由もあります。

6 . 糖尿病の主な原因は2つあります。

1.膵臓の「インスリンを出す力」が弱い

2.インスリンが効きにくい

血糖値を下げるホルモンであるインスリンは膵臓から分泌されています。 血糖値が高いと、血糖値を下げようとインスリンを余分に出すため、膵臓は疲れて「インスリンを出す力」が弱っていきます。この状態は糖尿病になる前の「耐糖能異常(糖尿病の予備軍)」の段階で、すでに始まっています。

年々進んでいき、現代の医学ではもとに戻すことは難しいと考えられています。 実は糖尿病の初期と診断された時点で膵臓の力は、すでに健康な若い人の40〜50%程度にまで落ちていると報告されています。「耐糖能異常」や「境界型糖尿病」と言われた人もすでに低下が始まっていると考えられます。 「インスリンを出す力」が弱っていくのを遅くする第一の方法は食事・運動療法です。また、体に合った適切な薬をのむことで膵臓を助け、予備軍の人が糖尿病になる確率を減らしたり、糖尿病の悪化を防ぐというデータがあります。

せっかく十分なインスリンが分泌されていても、内臓脂肪が多い人や筋肉量の少ない人はその効果が悪くなってしまうことがあります。内臓脂肪が多い人 ・腹囲が大きい人は小さい人よりも、血糖値を下げるためによりたくさんのインスリンを必要とします。 インスリンの効きめを良くするためには、体重が4%程度減るだけでも効果があるという報告があります。 筋肉が多いとインスリンの効きが良くなります。筋肉は寝ている間も熱を作り続けるためエネルギーを消費してくれます。 やせていても糖尿病になる人は、運動不足による筋肉量の減少が原因である場合があります。

コーラなどの糖の入った清涼飲料水をたくさん飲む人や体内に感染がある人、がんがある人、妊娠などが原因で糖尿病が急速に悪化することがあります。

7 . 糖尿病の合併症

○糖尿病の代表的な合併症には
・糖尿病性神経障害
・糖尿病網膜症
・糖尿病性腎症
・大血管障害心筋梗塞
(脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症)
があります。

これらの合併症は糖尿病になって、すぐにでてくるわけではありません。しかし、放っておくと確実に合併症になる確率が高くなります。

糖尿病神経障害,糖尿病網膜症,糖尿病性腎症を糖尿病の三大合併症といいます。

① 糖尿病神経障害
糖尿病の合併症のうち、最も早期に出現し、最も頻度の多い糖尿病合併症です。 症状は 両足がしびれる (靴下をはいていないのにはいているような感じ) 、足が冷える、めまい、立ちくらみ、便秘など障害される神経によりさまざまな症状がでます。代表的な糖尿病神経障害の中の多発末梢神経障害は両足先や足底部の知覚障害から発症し、徐々に上方に進行します。

② 糖尿病網膜症
糖尿病の人は眼底の血管が障害され、視力が低下したり、眼底出血をおこして視野の一部が急に見えなくなったり、失明したりすることがあります。

③ 糖尿病性腎症
高血糖により毛細血管が集まっている腎糸球体に異常が起こり、腎臓の働きに重大な障害が生じ、腎症を発症します。徐々に悪化する病気で、糖尿病患者の死因の約15%を占めています。日本で工透析になる人の半数以上が、糖尿病性腎症が原因です。腎移植をしない限り、透析を一生続ける必要があります。 初期には尿内にアルブミンというタンパク質の一種が見られます。さらに進むと尿タンパクがみられるようになります。当院では、糖尿病性腎症を早期に発見するために尿中アルブミン検査を定期的に行うことをお勧めしています。

三大合併症以外にも糖尿病の合併症には以下のような合併症があります。
① 心筋梗塞・狭心症
糖尿病患者は心筋梗塞や狭心症となるリスクが健常者の2-6倍に増えます。
② 脳梗塞・脳出血
耐糖能異常(正常と糖尿病の間の状態)があると脳梗塞となるリスクが約2倍に増えます。
③ 足壊疽(えそ)
足の皮膚の中に菌が繁殖し腫れることから始まります。血糖値の高い人は菌を殺す働きをする白血球の働きが落ちているため菌が増えてしまいます。菌が増えて炎症が悪化すると血糖値がさらに上がります。通常なら痛みを感じるはずなのですが、糖尿病で神経障害のある人は痛みを感じない場合があり、発見が遅れて悪化する原因となります。糖尿病の方は自分の足を毎日お風呂で見て異常がないか観察することが大切です。

・閉塞性動脈硬化症
足の動脈がつまって血液が流れにくくなる病気です。100メートルほど歩くと足の太ももの筋肉が痛くなって歩けなくなり、しばらく休憩するとまた歩けるようになります。間欠性跛行と呼ばれます。

・歯周病
歯肉の痛み、歯が抜けるなど歯ぐきに炎症がおこる病気です。症状があれば、早めに歯科を受診してください。

・アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症
研究発表によると糖尿病が、ある人は糖尿病がない人と比べて、認知症になるリスクが2.5-4.6倍に増えるとの報告があります。
 
・がん(悪性腫瘍)
糖尿病の人はすべてのがんの発症率が、健常者の1.3倍になります。血糖値が高い人のほうが、がんになる発症率が高くなります。日本の代表的な研究で、がんの発症率がHbA1c値が5.4%(NGSP)未満 の人と比べ、HbA1c値が7.4-8.3%の人では2倍に、HbA1c値が8.4%以上の人になるという報告があります。

・手術前後の合併症
他の病気で手術を受けることになった場合、血糖値の高い人は手術後の傷の治りが遅い、手術した場所に菌の感染を起こしやすい、死亡率が上がるなどのデータが報告されています。

・ED(勃起障害)

8 . 糖尿病治療の目標

血糖値をコントロールし、合併症を予防することで、健康な人と変わらない日常生活を送ることが目標です。

○糖尿治療の基本
・食事療法
・運動療法
・薬物療法

A.食事療法

① 食べる順番に注意する:食事をするときに「食べる順番」に気をつけてください。消化を遅らせる食物繊維の多い野菜・海藻類をはじめに食べて、血糖値を上げる炭水化物(米、パン、めん類)は最後に食べると血糖値の急速な上昇を防ぎます。 会席料理がそのような順番で料理がだされるのは理にかなったことです。
② 食事の速さ、食事をゆっくりとるだけでも血糖値の上昇がゆるやかになります。早食いの人は、肥満や糖尿病になりやすいという報告があります。
③ 適正なエネルギー量の摂取、身長と生活活動度から計算した1日の適正エネルギー量(kcal)の食事をとる治療法です。摂取するエネルギー量を適正にできると体重は理想体重(統計的に もっとも長寿の体重)に近づき、内臓脂肪が減ることでインスリンが効きやすい体となり、同じ食事をしても血糖値の上がりにくい体になります。
④ 食品の種類はできるだけ多めにする。
⑤ 食物繊維を多く含む食品をとる。
⑥ 三食規則正しく食べる。

B.運動療法

① 適度な運動により、食事療法との併用で治療効果が高まります。
① 食後30分は食休みをせずに体を動かします。運動した時に血糖が下がるだけでなく、運動で鍛えられた筋肉の組織が増えることでインスリンが効きやすい体が作られ、基礎代謝量も増えるため安静にしている時の血糖値も下がりやすくなります。
② 脈拍が少し速くなるような軽い運動を長い時間するほど、効果があります。 ウオーキングや水泳、エアロビクスなどの有酸素運動が有効です。
③ 20-30分の運動を週に3日は行う。
④ 無視をせず、マイペースで行います。
⑤ 空腹時の運動は避けます。

C.薬物療法

糖尿病の薬物療法は
1.血糖値を下げること
2.膵臓(すいぞう)のβ細胞がインスリンを出す力が弱らないようにする
こと

経口血糖降下薬の作用と副作用
① α-グルコシダーゼ阻害薬
作用:食後の高血糖を改善。腸管での糖質の分解・吸収を抑制
副作用:消化器症状(膨満感、放屁、 便秘、下痢)、他の血糖降下薬剤との併用時、低血糖時、 ブドウ糖以外の糖類の補食では低血糖からの回復が遅れる事がある、肝障害
② SU薬
作用:インスリン分泌促進
副作用:低血糖
③ ビグアナイド薬
作用:インスリン作用の増強
副作用:胃腸障害、まれに乳酸アシドーシス
④ チアゾリジン薬
作用:インスリンの作用を増強し、インスリン抵抗性を改善
副作用:浮腫、心不全、肝障害、貧血、体重増加
⑤ DPP-4阻害薬
作用:血糖依存的にインスリン分泌を促進
副作用:他剤併用時に低血糖
⑥ SGLT2阻害薬
作用:近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑制し、尿糖排泄を促進。
副作用:頻尿・多尿、尿路感染症
⑦ GLP-1受容体作動薬
作用:血糖依存的にインスリン分泌促進作用、グルカゴン分泌抑制
副作用:下痢、便秘、嘔気、急性膵炎
⑧ 速効型インスリン分泌促進剤
作用:インスリン分泌促進作用
副作用:低血糖

○経口糖降下剤服用にあたっての注意点
・食事療法や運動療法をきちんと行うことが大切です。
・食事がとれないときには服用せず、医師の指示に従ってください。
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